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11.122016
勇者のチラシにおれはなる第3話

3.ぎっしりちらしくんとファーを巻いたチラシちゃん
登場人物
- がんばる(とりあえず)チラシ
- ぎっしりチラシくん
- ファーを巻いたチラシちゃん
- やっつけチラシくん
文/えむこ 絵/マジー こざいく/まっきー
本文
そこは何の変哲もないカフェでした。
「なんだ、単なる休憩所か」
がんばるチラシが店内を見回すと、一人の女の子のチラシが具合が悪そうぐったりして、それを介抱しているチラシくんがいました。
「どうしたんだい?」
「この子が具合が悪くて座り込んでいたから、とりあえずここに連れてきてみたんだ」
介抱していたチラシくんが答えました。
とりあえず・・・?(;・`ω・´)
とりあえずに反応してしまう、がんばるチラシでしたが、そこはとりあえずおいておいて。
介抱していたチラシくんを見て、がんばるチラシはぎょっとしました。
そのチラシくんは、身体中、文字だらけ。
大小さまざまな字がぎっしり書きこまれていたのです。
(まるで、さっきのイラストみたいだ・・・)
「実はぼく、ちょっと最近目が見えにくくて・・・
一体ここはどんなところなのか知っているかい?」
ぎっしりチラシくんは言いました。
そりゃ、それだけまぶたまで字が書きこまれていたら、目も開かなくなるだろうな・・・
>
と思ったがんばるチラシですが
「【勇者のチラシに おれはなる】って書いてあったけど、いったい何をする所なのかさっぱりわからないよ、僕にも」
と答えました。
「へーそうなんだ。勇者のチラシにおれはなるか~。すごくかっこいいね。僕も勇者のチラシになりたいな」
にっこり笑って初めて口がどこにあるのかわかる、ぎっしりチラシくんは言いました。
そうなのか・・・
あのイラストが自分のことだと思って入ってきたのかと思ったけど、それを見たわけじゃないんだな。
なんだかホッとした。あれ見たら傷つくだろうな、きっと。
「本当だね、勇者のチラシって僕にも憧れだよ」
「そうだよね。勇者のチラシだったらきっと今日のトーナメントにも勝ち残ることができるんだろうな。
僕はせっかくのこんな日に体調崩しちゃって目が見えなくなるなんて、ついてないよ。
お母さんもガッカリするだろうなぁ・・・」
いやいや、目が見えなくなった原因は、そのぎっしり書かれた字にあるんだと思うけど、本人はそれには気がついていないんだな。
教えてあげるべきだろうか?いやそんなのは余計なお世話だよな。
それより、このぐったりしている女の子。もうすぐ夏だというのに、なんでファーなんて巻いているんだろう?
そうなんです。
その女の子はファーを巻いて真っ赤な顔をして、頭に氷を乗せていたのです。
なんともちぐはぐな取り合わせでした。
きっと、ぎっしりチラシくんには見えていないに違いない。
そう思ったがんばるチラシは、ファーを巻いた女の子に声を掛けてみました。
「大丈夫かい君?ちょっと暑いんじゃないのかい?
それはずして休んだ方がいいと思うよ」
「ご心配いただいてありがとう。でも結構よ・・・」
具合が悪いので元気はないけれども、言い方に勝気な性格が現れてました。
「このファーはオシャレでやっているの。これを外したら過酷なトーナメントには勝てないのよ」
「・・・そうなんだ・・・
でもまだトーナメントまでには時間があるから、ちょっと今の間だけでも」
「わかってないのね?あなた」
きっとなった目をして初めてファーを巻いた女の子はがんばるチラシに目を向け、そして「ああ、しょうがないわね」という顔をしました。
「あのね。あなたは知らないかもしれないけど、ちらしと言えどもブランディングって大事なの。
常に自分を飾る必要があるのよ。たとえ休憩中でもね。
そうやって初めて自分の価値が認められていくものなのよ。やっつけでやっていたのでは、ダメなのよ」
「そ、そうなんだ」
彼女の口調や表情から、自分が田舎者の「とりあえずチラシ」だということを見透かされたような気がしたがんばるチラシは、傷つきながらやっとのことで答えました。
ぎっしりチラシが小声で「なんか生意気な女の子のようだね」と囁きます。
「教えてあげましょうか?」
ぎっしりチラシくんの言葉が聞こえているのかいないのか、さっきまでのぐったりした様子はどこへやら、急に立ち上がって、頭に乗せていた氷をつかみ、それを振り回しながらファーを巻いた女の子は熱弁を振るい始めたのです!
「いい?」
二人を見渡すようにファーを巻いた女の子は言いました。
「オシャレはガマンなの!」 (`Д´*)q
そのどっかの芸能人が口にするような言葉を決然として言い放つ女の子に圧倒され、がんばるチラシくんもぎっしりちらしくんも言葉を失いました。
続く・・・
センスの良いチラシのデザインって何だと思いますか?
- 流行
- 色使い
- 形や配置のバランス
- なんか言葉にできないもっと奥深いもの
- 人が知らない間に動いてしまうしかけ
- 「そうそう!」って共感しちゃう何か

えむこ(福山道子)

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