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勇者のチラシのおれはなる第6話

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6.過酷なトーナメントを突破する要素とは

登場人物

 

文/えむこ  絵/マジー  こざいく/まっきー

 

本文

 

「ふっ。残念だったな。

俺は前回のトーナメントで、一回戦突破しちゃったんだよ」

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がんばるチラシは他のチラシと自分を比べることはしないチラシだと自分のことを思っていましたが、自分の中にこんな感情があるのを初めて知りました。

知らず知らずのうちに、やっつけチラシのことを「お母さんに手間をかけてもらえなくて可哀相なちらし」と思っていたのです。

「母ちゃん」を愛する、やっつけチラシの言葉にできる限り優しくしてあげよう」とまで思ってしまいました。

そう、やっつけチラシは、自分がかばうべき存在だ、自分より下だ、と思っていたのです。

でも・・・前回のトーナメントで一回戦突破したやっつけチラシは、とりあえずチラシの自分よりはるかにスキルが上・・・

 

ファーを巻いたチラシは、しくしく泣きだしました。

「ひどいわ、あんまりだわ。

私はこれまで一生懸命努力してきたわ。

前回だって一生懸命頑張ったけど、一回戦敗退だったわ。

そんな私を見て、お母様がこのファーを買ってくださったのよ。あなたはいつも頑張っているし、そんなに魅力的なんだから、これさえあれば、きっと勝てるからって。

だから、暑くても汗をかかないように体質改善までしてきたの。

それなのに、・・・こんな・・・こんな・・・

何の努力も工夫もしていないような方に負けたなんて!

もう無理だわ、何が正しいのかわからなくなってしまったわ」

ファーを巻いたチラシの言葉にがんばるチラシくんは心を打たれていました。

 

そうなんだ、

ここは本当に努力をしてきた人が集まっている「過酷なトーナメント会場」なんだ。

僕も「とりあえず」で参加なんてしちゃいけないんだ。

 

帰ってお母さんにこの事を話そう。

ちゃんとデザイナーさんに頼んでステキなデザインにしてもらわないといけないって言おう。

 

そして、がんばるチラシがファーを巻いたチラシを慰めようと近づくと、やっつけチラシはさらに言いました。

 

「なんだよ、おまい、一回ゴミ箱行きゲートに行ったことがあったのかよ!笑っちまうぜ」

「いい加減にしろよ!」

がんばるチラシはたまらなくなって思わず叫びました。

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「あんまり人を傷つけるのはやめようよ。

君だって本当は不安なんだろ?

前回は一回戦突破したものの、二回戦三回戦と臨む勇気がなかったんだろ?だからこの【勇者のチラシに おれはなる】に来たんじゃないのかい?」

 

やっつけチラシは「ぐ」と黙りました。どうやら図星だったようです。

 

「ちょっとさ、みんな落ち着いてお茶でも飲まないかい?

そうだ、やっつけくん、よかったら経験者として、過酷なトーナメントのことを教えてくれないかい?ぼくたち、別に敵同士ってわけじゃないんだし。」

 

ぎっしりチラシも
「そうだよね、僕もさっきから体が重くて限界だ。ちょっと座ろうよ。

それにしても、マッサージ佐藤広子がモノクロで印刷してるだけが、なんで一回戦突破したんだろうね」と言いました。

 

「・・・?ぎっしりくん?

なんでマッサージ佐藤広子がモノクロで印刷されているのがわかったんだい?

あれ?目が見えるようになったんじゃないの?」

 

「あれ?本当だ。いや、君の字は読めないよ、ファーを巻いたチラシちゃんのチラシも読めない。

でも、やっつけくんのマッサージ佐藤広子っていうのは読めるよ。」

 

「もしかして・・・そういうことなのか・・・?」

 

「そーだろー!だから言ったじゃないか!しんぷるいずびゅーてふるって。やっぱりチラシはこれでいいんだよ!」

 

「いや!そこじゃないんだ!言っちゃ悪いけど、君は一回戦は残っても二回戦、三回戦は残れない」

 

「なんだと―――!?
何を根拠にそんなことを!」

 

「だって、二回戦は10秒勝負だろ?三回戦は30秒勝負だ。

君は全部読んでも「2秒」で終わる。

しかも「問合せ先」もない。

何度一回戦を突破しても、絶対に最後までは残れない

 

 

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「か、母ちゃんが口で言うからいいんだって・・・最近はLINEもあるからその場で営業する・・・って・・・」

 

「そうだね、それでもいいのかもしれない。

でも、僕たちの使命はなんだい?チラシなんだよ?僕たちは。

仕事の依頼や申込みが来なければ、いる意味がないじゃないか。そうやって自分のお母さんの手助けがしたいって思っているんじゃないのかい?

君のチラシはマッサージをやっている佐藤広子さんっていうインパクトは残るし印象には残る

でもそれだけじゃ仕事の依頼には結びつかないんだよ。

つまりは「一回戦」は印象に残ることが目的。「三回戦」は30秒で仕事を依頼するアクションまで行くのが目的。

とすると・・・二回戦は・・・そこまでわかりかけているのに・・・わからない・・・」

 

「なんか、おまいは小難しいこと考えるのが好きなんだな・・・」

 

「あーいやだわ。泣きすぎてお化粧が落ちちゃった。ここ、本当に暑いわね・・・」

 

「ここに審査員がいるわけじゃないし、今だけファーを取ったらどうだい?」

 

「そうね・・・じゃ、ちょっとだけ・・・」
よっぽど暑かったのか、ファーを巻いたチラシちゃんはTシャツ一枚になりました。

 

「おまい・・・おまい・・・」

やっつけチラシくんがぼーっとして言いました。

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「何?文句あるの?いいじゃないの、わかってるわよ。お化粧もしていなくて衣裳を脱いだら、私なんて平凡な女の子よ」

 

「いや・・・そうじゃなくて・・・」

なんて言っていいのかわからないやっつけチラシに代わって僕は叫びました。

 

「きみ、すっごくかわいいよ。キュートでファニーでチャーミングだ!

そんなに着飾る必要ないよ。そのままの魅力を押し出した方がきっといいチラシになるよ」

 

「え?そうなの?見えない!えーい、僕も一回これ全部はずしていいかい?」

ぎっしりチラシも自分に貼り付けられた色んなテキストを脱ぎ始めました。

 

「はーすっきりした。みんな、はじめましてって感じだよ」にっこり笑う笑顔がとってもかっこいいイケメンが言いました。

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床には脱ぎ捨てたたくさんのテキストが雪のように積もっていました。

 

「こんなにたくさん、貼り付けてたんだね。これじゃなにがなんだかわからないね」

 

全てを脱ぎ捨ててやっと今までの自分の状態に気がついた、ぎっしりチラシ改めイケメンチラシは、びっくりしたようにつぶやきました。

 

自分のことは自分ではわからないんだな。

とりあえずチラシの僕は

周りから見たらどんな風に見えるんだろう?

 

続く・・・

 

 

 

■勇者になるための本日のミッション■

10秒勝負を突破するのにだいじなことは何だと思いますか?

  1. 綺麗で見た目がイイこと
  2. 10秒間で3回は読めるほどのシンプルさ
  3. お客さまを釘付けにして離さないなにか
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えむこ(福山道子)

担当:文ヴェニオ物語
ビジネスプランの脚本家
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